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ミニバラ写真館

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ミニバラ栽培法 根頭がんしゅ病

2011.1.12
 今日も日中に少し植え替えをしました。去年頻発して心配していたガンシュ病がまったく見られず安心していたのですが、今日の植え替えでは2鉢に見つかりそこでその対策をとるため植え替えをストップしました。

 ガンシュ病が見つかったのはアンドレアパレードと旧アラスカフォーエバーです。どちらも去年は花の咲く回数が少ないなと思っていたのですが、これが原因だったのですね。

 旧アラスカは再度入手できるか疑問ですが、思い切って処分しました。植わっていた土は他に行かないようにスーパーのゴミ袋に隔離して入れて捨てました。鉢やはさみ、土を触った手袋、土を広げるために下に敷いている敷物などを全部消毒しました。

 ガンシュ病の消毒はハイターです。塩素殺菌剤で普通に売っています。キッチンハイターは洗剤が入っているので安い方の単なるハイターでないといけないようです。

(追記 ハイタ―は器具や鉢などの周辺の消毒剤です。ガンシュそのものを治すものではありません。健常な苗にかけると枯れる恐れがありますのでくれぐれも注意してください。水泳プールの塩素殺菌と同じ性質です。)

 昨年の植え替えのときに、古い土を再生して使い続けていたために頻発したガンシュ病とネコブセンチュウで、今年も同じように発生したらミニバラ栽培はあきらめるところでした。すべて新しい土にした効果があったのでしょうか、今のところネコブセンチュウは皆無です。もちろん病気のところは切除して治りそうもない株は処分した結果です。

 参考までに昨年のガンシュ病の写真と、ネコブセンチュウの写真を再掲しておきます。ガンシュ病は挿し木したものに発生したもので、消毒が大切なことがよくわかります。

挿し木苗にもガンシュ病
挿し木苗にもガンシュ病


 ネコブセンチュウは根のところどころに小さなこぶができるものです。根にセンチュウが入り込み養分を吸ってしまうので、バラの生育が悪くなります。これも放っておくと移動して広がりますので、見つけたら処置しなければなりません。

 確か罹患した部分を切り取って新しい土に植えたと思います。効果があるというネビジンという薬剤を混和して植えたこともありましたが、それは枯れてしまいました。

ネマトーダの罹患根
ネマトーダの罹患根

 ガンシュ病に罹患しても簡単に廃棄できない品種もあります。私の場合はハニームーンです。昨年ガンシュ病に罹患し、どうにもならなかったのですが、どうしても保存したくてわずかに根が出ていた枝を分離して残し、そこから生育した枝の芽を芽接ぎして品種を確保しました。その元株を治っていればいいがと植え替えましたが、残念ながら治っていませんでした。かといってすぐに捨てるわけにも行きませんので、削って削り口に木酢液原液を塗り植えつけました。この夏にはそこからも芽を確保して複数本の芽接ぎ苗を作ろうと思っています。貴重品種の品種保存には気を使います。



2009.1.7
ミニバラに発生した根頭がんしゅ病

ショックです。根頭がんしゅ病が発生してしまいました。10鉢ほど植え替えを行ったのですが、その中の一鉢を植え替えたとき変な感じがしたのです。
 品種はバレリーナパレード。少し土が水っぽいなと思いました。ぬいた株の土をほぐすのですが、なにやら固い土の塊があり、なぜほぐれないと回りの土を取りましたらなんと木の肌が見えます。
(追伸 植え土を良く観察すると、牛糞の割合が多すぎて土がベトベトしていたようです。配合に気をつけます。)
 これはバラの致命傷とも言われる根頭がんしゅ病です。このこぶは土の中に完全にもぐっていて、地表には現れていませんでした。それにしてもミニバラの茎の太さに比べるとその大きさは驚きです。
 今まで見たことがありませんでしたので、写真を撮ってから株ごと捨てることにしました。しかし、この品種はバレリーナで、最近店頭やオークションにも売りに出されている姿を見ていません。小型で端正な姿なので好きな花です。挿し木で品種の保持を図ろうと根を少しつけて切り取り新しく植えなおしました。また再発するでしょうか。これも実験です。
 ブログでは根頭がんしゅ病は患部を切り取って、木酢液を振り掛けると治ることがあると書いてあります。しかし今回は準備不足もあり何の措置もしないで植え込んでしまいました。
 これを機会に少し調べてみました。次がその一部です。

■発生原因とその生態:
この土壌病菌アグロバクテリュウム・ツメファシェンス菌が、根、接木部などの傷口から入りこみ感染する。発病した樹周辺の土壌に土壌細菌が存在している。この病菌は感染した発症前の苗木の樹液に入って運ばれ感染地域を拡大することがあり、1997年のバラ苗自家増殖禁止以降、苗木種苗販売業者、その苗木を購入する切花バラ栽培業者の間で販売不良苗への対策が問題になっている。

バラの根頭がんしゅ病菌は土壌中で越冬し、根の傷口、台木接ぎ口など傷口から侵入してがんしゅ(コブ)を形成し、がんしゅ表面から雨などによって土中に入り再び伝染を繰り返す。コブ形成の誘因となったこの細菌はガン腫瘍内部にはなく、細菌のDNAを送りこまれた感染組織が遺伝子組換えで細胞を形質転換させて組織をガン増殖する。腫瘍自体は伝染しない。腫瘍は吸い取った養分を土中の親菌に送り続ける、などが観察されるようです。

 これによると、根頭がんしゅの菌はこぶの内部にはいなくて周辺に存在し、こぶが栄養補給源となるようです。
 治療法はなく、発生を抑えるには、他の菌との拮抗作用で感染を防ぐしかないようです。ほかのミニバラに拡大していなければ良いのですが。

対策
 接木や挿し木のときに罹患するので、ハサミや刃物を消毒する。次亜塩素酸ナトリウム。家庭用のハイターなど塩素系消毒剤の主成分。この液に漬けると良いらしい。その他焼却、熱湯などがある。
 土壌の消毒は、薫蒸などかなり本格的に行わなければならない。

【病原菌】 アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens (Smith et Townsend))というバクテリア。この菌は,桿菌,単極毛1~3本有し,運動性がある。非抗酸性,好気性,グラム陰性細菌。0~37度までは生育可能で,14~30度で良好に生育する。最適温度は22度。発症適温は25~34度。死滅温度は51度。pH5.7~9.2の間で生育でき,最適pHは7.3。最適湿度は60%前後。

【生態】 この菌は土壌中に低密度で棲息する。宿主となる植物が植えられると根周囲に集まってきて,その植物体に傷口があった場合のみ感染し根頭癌腫病を発症させる。明治23年,南アメリカから輸入した桜桃の苗木により日本に入ったという情報もある。

【コブの形状】 普通は主幹の地際部あるいは地表の直下にクラウンゴール(Crown gall)と呼ばれる腫瘍(癌腫,コブ)を作る。この腫瘍は最初は淡黄白色でときに柔らかく弾力のある小突起状。のちにしだいに肥大して球形から半球状の暗褐色でかたいコブに発達する。古くなったコブは表面細胞が枯死し表面がデコボコした塊状,黒褐色から灰褐色を呈する干しシイタケに似た様相となる。コブは切り取っても再生され,古い癌腫コブの近くには毎年新しい癌腫が生長して奇形を呈する。

【株の衰弱】 罹病株はただちに枯れ死ぬことはないが,コブが肥大するにつれて枝葉が徐々に衰弱して生育不良となる。発病が著しくなると枯死にいたる場合がある。生育や生産力が低下する。具体的には樹勢の衰え,葉色,花色などの劣化を起こし,切り花栽培では商品価値を著しく低下させる。ブラインドが発生しやすくなり,貧弱な開花枝になりやすい。夏の剪定後,株の傷みが大きい。

【宿主】 宿主の病原菌は多犯性であり,大部分の双子葉植物と一部の単子葉植物(ユリ目,サトイモ目の一部)に感染し腫瘍を作る。癌腫病宿主になる多くの植物の中でバラは比較的弱い。バラ科の果樹では重要な病害と考えられている。

【感染】 発症を引き起こす細菌(以下病原性菌)が植物体に付着すると,互いに繊維状の物質でからみ合って侵入の基地を作り,他の細菌の吸着を妨げる。そして,病原性菌自身のTiプラスミドと呼ばれる腫瘍誘発遺伝子を用いて,植物核内の染色体にその生産物を導入し遺伝子組み替えを起こす。病原性菌は根部に集結するだけで,植物体内には存在しない。病原性菌の付着からおよそ3日間で遺伝子組み替えが完了する。

遺伝子組み替えをされた植物細胞は植物ホルモン(オーキシンとサイトカイニン)を多量に生産し,その結果細胞(癌化細胞)が異常増殖して腫瘍を形成。さらに植物細胞はオパイン(特殊なアミノ酸)の生産を開始する。オパインは癌腫の周囲にいる癌腫病菌への窒素源・炭素源となり増殖を引き起こす。このオパインは健全な植物には存在せず,植物体には利用できない。

【感染経路】 典型的な傷痍侵入菌で,発生には傷が必要。移植による根の切断,昆虫や線虫などの食痕,霜害等によって生じた傷が主要な侵入口となる。刃物などを媒介とした感染も多く,接触伝染での広がりもある。一度感染が成立すると,菌が存在しなくても発病は進行し,腫瘍は増殖を続ける。このように三大伝染源は,土壌・苗木・接ぎ木ナイフ等と考えられる。

保菌した苗木を移動することで,遠隔地へ伝播される。また癌腫が形成されると表面の病原性菌は雨水などに伝わって土壌中を移動し伝播を繰り返す。一般に苗木の連作地や発病樹の跡地などで多発しやすい。苗木生産段階における罹患には充分留意すべきで,芽接ぎ苗切り接ぎ苗および挿し木苗それぞれにおいて,罹患する機会は充分にある。

【発症条件】 発症と土壌の環境条件は特に密接な関係があり,感染や発病を支配する影響力は大きい。発症適温が高い。植物体の生育が旺盛で地温の高い夏季には,病原性菌の増殖が盛んで短期間で発症に至る。
 
 反対に休眠期には活動がにぶり,潜伏期間は非常に長くなる。さらに土壌湿度や酸度,および成分など,そのほかの因子が組合わされて発病を支配する。一般に土壌温度が22度,土壌湿度が60%程度が発病に好適な条件であり,土壌反応は酸性土壌よりも中性に近いほど発病が多くなる傾向がある。

【処置】 病原性菌は宿主植物が無くとも土壌中で数年間生存が可能。しかもいったん土壌中で増殖すると,乾燥や低温などの不良環境によく耐えきわめて長く生存する。
 
 若いコブや土壌中に残存する破砕した癌腫組織片中で越年して翌春の伝染源となり,数年に渡って感染源となる。そのため一度本病が発生した土地では完全に防除するのは難しく,発症株の焼却処分,育苗に用いる道具の消毒を行い清潔な環境を保つことが肝心となる。

1-発症株は見つけしだい抜いて焼却処分。
2-発症株は土壌に残さないように丁寧に抜き取る。周辺土壌と一緒に処理し,
周囲の土手などに放置しない。
3-発症株から挿し穂は採取しない。
4-発症株に使用した刃物はエチルアルコール等で消毒する。


【防除法】 発症してからは農薬による防除が困難で,発症株の焼却処理と跡地土壌の客土が一般的対応となる。なお本病は一度発病するとその土地での防除はきわめて困難となるので,苗木を移植したり新植するさいには,厳重に検査して羅病苗を持ち込まないように充分に注意する必要がある。苗木の消毒は,古くは石灰乳のよる報告があるものの,現在常用されている有効な方法はない。バクテローズ処置した苗を定植することが唯一効果的な予防方法である。

【土壌消毒】 営利栽培の場合,多発地ではクロルピクリンくん蒸剤,ガスタード,バスアミド微粒剤などの土壌消毒剤を次作前に徹底して行うことは有効とされる(ただしガス抜きを充分に行うこと)。しかしながら土壌消毒は一定の発病抑制効果が認められるものの十分な効果は得られず,また効果に対する設備やコストの負担が大きい。永年水田として利用した土地の場合は土壌消毒を必要としない。しかし潅漑水を通しての癌腫菌侵入には警戒を要する。

【予防】 生産現場では,予防効果の高い生物農薬(バクテローズ)を使用する。無病地を選んで,健全な育苗を行う。輪作は予防に効果的である。

【台木の感受性】 バラ苗生産現場においては様々な台木が使われているが,台木の種や品種によって病原性菌に対しての感受性が異なる。また,接ぎ穂の品種によっても変化する。一般にノイバラ台木は根頭癌腫病に罹りやすいと言われるが,台木の種間差よりもノイバラ台木の系統間差の方が大きい。

ノイバラ品種ISU60-5は抵抗性が高く,ノイバラ選抜系統のBrools48,Clarke1957そしてWelch には抵抗性があり,自生のノイバラやマネッティは著しく発症したとの報告がある。また,テリハノイバラ,インディカ・マヨールおよびツクシイバラは著しく弱く,ノイバラでも選抜系統K-1とK-2は抵抗性が高くほとんど発症しない。

【Agrobacterium属】 Agrobacterium属は4種・・・Agrobacterium tumefaciensは根頭癌腫病菌,A. rhizogenes(毛根病菌),A. rubi(Rubusに癌腫を形成する),A. radiobacter,これら4種が知られている。またA. rubi以外のAgrobacterium属には,同種内に複数の系統が知られている。

Agrobacterium tumefaciensにはBiover 1,Biover 2及びBiover 3の三つの系統が知られ,それぞれの生息地は地理的にも植物的にも分かれる。ギリシアとハンガリーではBiover 1とBiover 2が分離され,オランダとニュージーランドではほとんどがBiover 1,アメリカとカナダではBiover 2が圧倒的に多い。Biover 3は地中海沿岸のブドウ畑から分離された(近年別種(A. visit)と扱うよう提案された)。日本にはそれら三タイプが見つかっているが,バラから分離される菌株のほとんどがBiover 2である。

【K84とアグロシン84】 土壌菌のPenicillum(青カビ),Asperigillus(コウジカビ),Pseudomonas(シュードモナス),Trichoderma(カビの仲間),Bacillus(納豆菌の仲間),Agrobacteriumに属する菌,これらには根頭癌腫病菌に大して拮抗関係にあり,防除効果が期待できる。なかでもAgrobacterium radiobacter K84(以下K84)は,バラに感染するBiover 2に近縁の細菌だが病原性がなく,相当高い防除効果が認められている。

K84をバラの根に処置すると根部で増殖定着し,競合関係にあるA. tumefaciensの植物体への吸着を阻害する。さらにK84はアグロシン84という特殊な抗生物質を生産する。K84はたえまなくアグロシン84を生産し,接種された病原性菌はDNA複製を阻害されて速効的に死に至る。これらK84の殺菌効果を根頭癌腫病菌の予防に利用したのがバクテローズ。

【バクテローズ】 バクテローズは1989年,バラに対し微生物農薬(生物農薬)として登録された(トモノ農薬KK)。日本では非食用のバラに対してのみを対象植物とするが,諸外国では果樹にも適用されている。人畜毒性は普通,魚毒性はA類。

購入苗がすでに病原性菌に感染している場合は効果がない。生産段階においてバクテローズを接種し,その後無菌用土で育成した場合には高い防除効果が認められる。

防除効果は国や植物の種類で必ずしも一様ではないが,日本のバラでは高い効果が認められている。防除効果は,K84の処理濃度と土壌中の病原性菌濃度に大きく影響を受けるので,前もって発症の多い土地では効果が認められない場合がある。K84による生物防除を成功させるには,下記の条件が必要。

1-処理前の苗が病原性菌に感染していないこと
2-土壌に存在する病原性菌の生存濃度を低く(無菌という意味ではない)しておくこと


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